キャラクター紹介
ぬいぐるみ提督。
元は人間だったがある理由でぬいぐるみの姿に。名前を記憶するのが苦手で、
間違えて名前を覚えてしまう事も…。
艦娘の為にバシー島へボーキサイトを
堀に行く事を日課(強制)としている。
プリンツ・オイゲン(元プリン串置いてけ)
日本の文化、かなり変わった鎮守府の文化に
戸惑いながらも秘書艦を目指し奮闘中。
ドイツから移籍して来た際に、鎮守府の
諜報活動という極秘任務を任されていたが…。
秘書艦妙高。
時に優しく、時に厳しく。
ぬいぐるみ提督や艦娘達をサポートしている。
ドラム缶を片手で潰せる火力の持ち主。
特型駆逐艦の1番艦ふぶ…なんとかさん。
毎回名前を間違えられる提督の被害者。
…etc.
ストーリー
『ある者に聞いた。提督に人権はないのかと。』
『その者は答えた。提督は人間ではないのだと。』
1700(ひとななまるまる)
一般に17時とか午後5時と呼ばれる時間。
こうなると、日は傾き世のお父さんお母さんたちは仕事を終えて…
ある者は家へ、またある者は呑みにいくぞーとばかりに夜の街へと帰っていく。
提督の定時も、そんな平和な時間に一応は定められているのだが。
『ひが~し~。おつかれ~やーまー。おつかれ山~』
鎮守府部屋希代の関取、おつかれ山関。今年は綱とりも掛かっている大事な一番です。
『にーし~。仕事の~やーまー。仕事の山~』
そして対するはサービス残業部屋の力士、ここまで無敗。
時間いっぱい、両者見合って…。
『はっけよーい! 残った残った~!!』
…結果は今日も残業部屋の勝ち。
土俵一杯、というか机一杯。山のように積まれた書類を前にして、
提督は現実を放り投げて今年の綱とりを逃すのであった。
「司令。コーヒーをお持ちしました」
『あぁ。すまない』
提督の仕事はまだ終わらない。
提督にとって定時とは時間を知らせるハト時計のハトのようなものであり、
鳩よりもカモメが好きな提督にとっては…最早どうでもいいものであった。
『…平和の象徴ハトぽっぽも、ここじゃ憎まれるだけなのかもしれないな』
「…? お夜食はやきとりになさいますか?」
提督のつぶやきを夜食のリクエストだと思ったのか、
秘書艦である妙高はやや驚いた顔をして自分の上官のボヤきを受け止めていた。
『…そういうんじゃないんだが。…まぁ、それもいいか』
鎮守府名物、提督と秘書艦の取り留めの無い会話。
一般には少しズレた会話と見られることの多いこのやりとりも、
世の中が平和であるということの証拠なのかもしれない。
そう思うと、この仕事の山もそれほど悪くは無いのかもしれないのだが…
やっぱり憎い相手は憎い相手。書類は急にかわいくはなったりはしないのである。
『…さてと。まったりしてても仕事は終わらないからな。とっとと片付けるか!』
ひと息をついてからの職務復帰。提督は自分の何倍もの背丈を誇る書類の山に挑み、
更にその何倍も大きな自分の秘書艦に、コーヒーのおかわりを要求する。
「司令。あまり無理はなさらないでくださいね?」
『大丈夫だ。この身体に乳酸は溜まらない』
無機物の身体が疲れるということはない。
人間を辞めた時。
少なくともこの変化だけは本人にとってプラスであるのだと、
この鎮守府の“ぬいぐるみ提督”は前向きに捉えているのであった。
『覚悟しろ仕事の山関。今日こそはキサマに黒星をだなぁ…ぁぁあああっ!! 妙高っ!
コーヒーこぼしちまった!! 早く!! 書類が黒くなる前に、早く!!』
あやうく本当に黒星を付けそうになる、ちょっとマヌケなぬいぐるみ提督。
この物語はそんな彼と、彼を取り巻く艦娘たちの物語である。